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不当解雇の弁護士コラム

解雇が法律上、絶対に許されない場合とは? ~法律によって守られる立場~

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はじめに


定年退職になるまで約40年間働き続けることになります。
この40年間の間には、出産や育児により仕事を休職する場合もあるでしょう。 また、人によっては労災事故に遭い、会社を休職することもあります。

このように仕事をしている間には様々な出来事がある一方、会社の都合のみによって、仕事が奪われることを許すと、自由で豊かな生活ができなくなります。

そこで、日本の法律では、会社の都合のみによって、仕事を奪えないよう、労働者の権利を厚く保護しています。

一般的な解雇の制限

労働契約法16条によると、客観的に合理的な理由がない解雇、社会通念上相当と認められない解雇は、無効であるとしています。例えば、上司の好き嫌いによって解雇する場合には、合理的な理由がないことになります。また、1回遅刻したことを理由に解雇する場合、果たして初めての遅刻で戒告等ならいざ知らず、解雇という重い処分は不相当です。

労働契約法第16条(解雇)
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」

しかし、労働契約法16条が定める解雇が無効となる要件は不明確ですので、人によって判断が分かれてしまいます。
そうすると解雇をした会社側は、この要件を満たしていると主張し、解雇が有効であるとの立場をとるでしょう。
その結果、会社と労働者との間で紛争が生じ、裁判で争う事態になります。
一般的には経済的・社会的に会社の方が優位な立場にありますので、不利な立場にある労働者としては争いが生じてしまえば、その時点で多大な負担を強いられることになり、泣き寝入りをせざるを得ない状況になります。

そこで、労働者が泣き寝入りをしなければならないような事態にならないように、労働者を守る必要性が高い場合や許されざる差別については、明確な要件を法律で定め、解雇を無効としています。

解雇が無効になる場合を明確に定めることによって、会社側が言い訳をできないようにしているのです。

明確な解雇制限

それでは、解雇の無効について明確な要件を定めている場合をご紹介します。

①労災事故を理由とする解雇の禁止
労働者が業務災害に遭い怪我をした場合には、怪我の治療中や治療が終わって30日間は解雇することは禁止されています。

ただし、仕事中の事故であっても、いわゆる通勤災害(主として通勤途中の交通事故)の場合は、対象外であることに注意が必要です。

労働基準法第19条(解雇制限)
「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間、、、、、は解雇してはならない。」

②産前産後休暇を理由とする解雇の禁止
妊婦は原則として、出産予定日の6週間前から産後8週間までは休業を請求でき、その期間中及びその後30日間、解雇することは禁止されています。出産を理由に退職を求めることはマタニティハラスメント(いわゆる「マタハラ」)となりますが、解雇が許されないことは当然知っておくべきことです。

労働基準法第19条(解雇制限)
「使用者は、、、、、、、、産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。」
労働基準法第65条(産前産後)
「使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあっては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
2 使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。」

③ 子の育児に関する休業・休暇・特別な配慮を理由とする解雇の禁止
一定年齢以下の子がいる親は育児休業を申請し、育児休業をとることができます。
さらに、休業まではしないまでも時短勤務を希望することもできますし、残業することを拒むこともできます。
また、一定の年齢以下の子がいる親は、午後10時から午前5時までの深夜労働をさせないよう申請することもできます。
以上のような休業・特別な措置の申請を求めたことや休業・措置をとることを理由とした解雇は禁止されています。

育児介護休業法第10条(不利益取扱いの禁止)
「事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」
育児介護休業法第16条の4
「第十条の規定は、第十六条の二第一項(子の看護休暇)の規定による申出及び子の看護休暇について準用する。」
育児介護休業法第16条の10
「事業主は、、、、、、請求をした労働者について所定労働時間を超えて労働させてはならない場合に当該労働者が所定労働時間を超えて労働しなかったことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
育児介護休業法第18条の2
「事業主は、、、、、、請求をした労働者について制限時間を超えて労働時間を延長してはならない場合に当該労働者が制限時間を超えて労働しなかったことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
育児介護休業法第20条の2
「事業主は、労働者が、、、、請求をした労働者について深夜において労働させてはならない場合に当該労働者が深夜において労働しなかったことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」
育児介護休業法第23条の2
「事業主は、労働者が前条(時短勤務)の規定による申出をし、又は同条の規定により当該労働者に措置が講じられたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」

④親の介護に関する休業・休暇を理由とする解雇の禁止
要介護状態となった親の介護をする場合は、介護休業の申請と介護休暇の申請をすることができます。そして、介護休業や介護休暇の申請、実際の休業・休暇の取得を理由として解雇することを禁止しています。
なお、子の場合と異なり時短勤務や残業制限の定めはありません。

育児介護休業法第16条の7(準用)
「第十条の規定(不利益取扱いの禁止)は、第十六条の五第一項の規定(介護休暇)による申出及び介護休暇について準用する。」
育児介護休業法第16条(準用)
「第十条の規定(不利益取扱いの禁止)は、介護休業申出及び介護休業について準用する。」

⑤ 国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇の禁止
外国人であること、特定の宗教や政治団体を信仰していることを理由とする解雇は禁止されています。また、社会的身分とは、生まれつきの身分や地位と言う意味で、人種もこれに該当します。但し、正社員、臨時社員などの地位は生まれつきの身分や地位ではありませんので、社会的身分に当たりません。
以上のことは憲法上の要請でもあります。

労働基準法第3条
「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」

⑥性別を理由とする解雇の禁止
男性だから、女性だからという理由で解雇することは禁止されています。
性別によって差別されないというのは憲法上の要請でもあります。

男女雇用機会均等法第6条
「事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない。
、、、、、、
四  退職の勧奨、定年及び解雇並びに労働契約の更新」

⑦ 裁判員に選ばれた場合の休暇取得に対する解雇の禁止
平成21年度から、一般国民が刑事裁判に裁判員として参加し、有罪・無罪、刑務所に入る期間などを決める裁判員裁判が施行されています。
裁判員は、選挙人名簿の中から無作為で選ばれますが、選ばれると裁判員としての選任手続、裁判への出席が義務となります。
しかし、裁判は平日に行われるため、仕事のある方は仕事を休まなければなりません。

そのために、裁判員としての義務を果たすための休暇取得を法律が認めている一方で、休暇取得を理由とする解雇を禁止しています。
また、裁判員は無作為抽出で行われ、また選ばれた以上裁判への出席は義務ですので、裁判員やその候補者となったことを理由とする解雇も禁止されています。

裁判員法第100条(不利益取扱いの禁止)
「労働者が裁判員の職務を行うために休暇を取得したことその他裁判員、補充裁判員、選任予定裁判員若しくは裁判員候補者であること又はこれらの者であったことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」

⑧不当労働行為にあたる解雇の禁止
会社は、不当に労働組合の活動を妨げたり、圧力をかけることを禁止されています。
これを「不当労働行為」といいます。
この不当労働行為の一つとして、労働組合の組合員であること、組合に加入・結成しようしたこと、正当な組合活動をしたことを理由とする解雇を禁止しています。

労働組合法第7条
「使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
一 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。」

⑨ 勤務先等が法律違反をし又はその疑いがあることを通報したことを理由とする解雇の禁止
会社の法律違反行為等は会社内部の問題として、明るみになりにくい性質があります。
そこで、労働者に内部告発を促すことによって、会社の法律違反行為等を是正させたいという目的の一方、労働者の地位が守られなければ、労働者の立場上、内部告発がしずらいです。
そのため、勤務先等が法律をし又はその疑いがあることを通報したことを理由とする解雇を禁止しています。

労働基準法第104条(監督機関に対する申告)
「事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。
2 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。」
公益通報者保護法第3条(解雇の無効)
「公益通報者が次の各号に掲げる場合においてそれぞれ当該各号に定める公益通報をしたことを理由として前条第一項第一号に掲げる事業者が行った解雇は、無効とする。」

⑩介護関係職員が虐待を発見した場合の通報を理由とする解雇の禁止
介護施設等では、介護疲れ、人手不足等から高齢者虐待が生じる危険性があります。
また、介護施設等は一般人が立ち入ることも少ないので、虐待が明るみになりにくいという性質があります。
そこで、法律は、介護関係職員に対して、虐待通報の義務を課しています。
そして、虐待通報した職員を守るために、虐待通報を理由とする解雇を禁止しています。

高齢者虐待防止法第21条
「7 養介護施設従事者等は、第一項から第三項までの規定による通報をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いを受けない。」

最後に

以上のように明確に解雇が禁止されている事柄が多くあります。

しかし、使用者側が無知であるなどの理由により、解雇禁止の場合においても、解雇がなされることは往々にしてあります。
他方、労働者側も法律の規定をよく知らないがために、おかしいと思いつつ、解雇を受け入れてしまうことがあります。

少しでも解雇に納得できない、おかしいと思われたら、弁護士にご相談下さい。
もしかすると、あなたがされた解雇は無効かもしれません。

大阪バディ法律事務所は、労働問題について、豊富な知識と経験があります。
お気軽に当事務所の弁護士までご相談(無料)下さい。お電話お待ちしています。

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