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不当解雇の弁護士コラム

解雇されると退職金はもらえないのか?

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はじめに

「会社から解雇を言い渡されてしまった。解雇に不服があるものの、会社とは縁を切って、転職したいけど、生活のため退職金は貰えるのだろうか?」という思いを持たれている方がいらっしゃると思います。

では、解雇されたら、一切退職金は貰えないのでしょうか。

長年会社にお勤めになっていた方にとっては、解雇によってこれまでの功績が全て否定されてしまうことに納得できない方が多いと思いますので、解雇と退職金の関係についてご説明します。

退職金とは

退職金というのは、文字通り退職の際に会社から支給されるお金のことをいいます。
ただし、長年会社で働いていたからと言って、当然に退職金が貰えるというわけではありません。

働いていた会社において、就業規則、労働協約、雇用契約書などに「退職金支給有」と明確に記載されている場合や明確な決まりはないもののこれまで退職した従業員のほとんどが退職金を受け取っていたという慣習があるのみ、退職金を受け取ることができるのです。

まずは、勤務先で「退職金支給有」と記載のある就業規則などがあるのか、これまでの退職金支給の実績があったのか調べることから始めるべきでしょう。

なお、中小企業においては、会社外の組織に退職金の積み立てを委託している場合があります。例えば、「独立行政法人 勤労者退職金共済機構 中小企業退職金共済事業本部」(通称、「中退共」と呼ばれます。)が有名です。これは会社が、中退共に毎月決まった金額を預け、従業員が退職した場合には、会社からではなく、中退共から従業員に退職金が支払われるという制度です。

勤めていた会社にこのような制度がないかも調べることが必要です。

退職金は退職後どれぐらいの期間で支給されるのか?

先ほどご説明したように退職金が貰えるのは、就業規則等で定めがある場合か慣習で退職金が支払われている場合です。
したがって、退職金の支給のタイミングも就業規則等で定まっている時期が支払時期となります。

ただし、就業規則等について支給時期の記載がない場合や慣習で退職金が支払われている場合には、支給時期がわからないという状況になります。

このような場合の退職金の支給時期については、労働基準法に定めがあります。
具体的には、退職金は、従業員が退職した後請求があった日から、7日以内に支払わなければならないと定められています。

労働基準法23条
使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。

解雇の種類による退職金支給の有無の区別

以上のように退職金を支給する規定又は慣習があり、支払時期が来ている場合には退職金を受け取ることができそうですが、解雇された場合は、退職金を受け取れない、という話を聞いた方も多いと思います。

解雇には、普通解雇、整理解雇、諭旨解雇、懲戒解雇がありますが、退職金の不支給、減額が問題になりうるのは諭旨解雇と懲戒解雇です。特に問題になるのは、懲戒解雇の場合が多いでしょう。

懲戒解雇された場合の退職金の減額・不支給

懲戒解雇された場合、退職金が貰えなくなったり、金額を減らされることはやむを得ず、不服を述べることはできないのでしょうか。

結論としては、

 

懲戒解雇をされた場合でも、満額の退職金を受け取れる場合があります。

 

① 懲戒解雇の場合、退職金を不支給・減額するとの規定がない場合

懲戒解雇の場合でも、当然に退職金が不支給、減額になるわけではありません。
会社が、懲戒解雇を理由として、退職金を支給しない、減らす、という判断をするためには、就業規則等で明確に、そのような定めをしていることが必要になります。例えば、「懲戒解雇になった場合には、退職金を不支給とする。」「懲戒解雇となった場合には、退職金額を半額にする。」などの規定がある場合にのみ、退職金の不支給・減額が適法となります。

したがって、以上のような定めがなければ、懲戒解雇をされた場合であっても、満額退職金を受け取ることができます。

 

②懲戒解雇の場合、退職金を不支給・減額とする規定があった場合は、一切受け取れないのか?

会社の就業規則や雇用契約書などで、懲戒解雇をされた者には退職金を支給しない又は減額すると規定があった場合には、それに従わなければらないのでしょうか。

この点については、会社と従業員の間で争われた裁判例が多数あります。

そして、裁判例によれば、

A 懲戒解雇とされた以上、原則として、就業規則等の定めに従い、退職金を不支給・減額とすることは認められる。

B ただし、それまでの勤続の功を抹消してしまうほどの著しく信義に反する行為があったとはいえないことを従業員側が証明できれば、退職金の不支給・減額は認められない。

と判断しています。

 
したがって、懲戒解雇の場合で退職金を不支給・減額とする規定があったとしても、退職金が請求できる場合があるのです。

最後に

以上のように、①退職金がそもそも支給されるのか、②支給されるとして解雇の場合でも支給されるのか、という2段階で検討しなければなりません。

そして、退職金に関する定めがあるかどうか、退職金を不支給・減額とする規定があるかを調べるためには会社との交渉力が必要になります。
また、規定の定め方によっては法的な判断が必要になります。

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